ずいぶん前だけど映画「VICE」観た

ジョージ・W・ブッシュの副大統領だったディック・チェイニーの人生と政治的影響を描いた映画なんです。まず最初に言いたいのが、事実はもっとひどいはず。登場者がほとんど存命だし、マイケル・ムーア監督風コメディタッチにしてお茶を濁した感じ。でも、よく作った!と言っていいのかも。ハリウッドの反トランプの力が結集しているのね、きっと。

 

 

映画の最初のあたり、国民を薄給で忙しく働かせれば政治に関心がなくなる。余暇の時間がどんどん少なくなれば、人は政治に文句をつけるのではなくて、簡単なエンターテイメントに走るはずという計画。これ、今の日本そのまんま!実はこの状態って長年にわたり巧妙に仕向けられたものだったのかもしれません。

 

薄給じゃないと社会が回らないみたいに信じ込まされている私たち。ほんとなのかな???パート掛け持ち、ブラック企業で働く人は大勢いるわけだけど、実は機械やPCやAIに仕事分担させているんだから、本当は少ない時間働いても裕福な生活ができるはずなんじゃないの?世の中には色々な陰謀論があるけど、この部分、実際の陰謀と認定したくなりましたよ。

 

ディック・チェイニーは本来怠惰な飲んだくれ、ところが成績優秀だが、女性として社会的な成功を諦めた妻の差し金で政界の出世街道を登りつめたという筋書き。映画の中にマクベスっぽい台詞回しのところがあって、上手にエンタメしているなあという感じ。エイミー・アダムスがいつものように巧く演じていたが、こういう設定はイージー過ぎ、そんな簡単に「女」のせいにされてしまうのもなあ...。少なくともシェイクスピアの時代には戦地に横たわる死体の数は全然少なかったはずですよね。それに、ジョージwブッシュに関してはほとんどタッチしていないということも、ほぼ現役の政治を映画にすることの大変さを痛く感じました。

 

しかし、観てよかった映画、かも。特に、ちょっとでも政権に批判的なものは徹底的に叩く近頃の日本では、こういう映画もあるのか…とお勉強になる、ような気がしないわけでもありません。悔しいけど。

 

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70sのカレッジガール。こんな服装で、それこそ政治の話をガンガンやっていた60〜70年代の女の子、懐かしいなあ。

 

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「ゲティ家の身代金」を観た

「オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド」つうこの映画、今これ以上旬なテーマはないでしょう。70年代、オイルショックの頃です。石油王ジャン・ポール・ゲティの孫がローマで誘拐される、ところが身代金1700万ドルを、この歴史上一番の大金持ちはどうしても払わないのだ。超豪邸に住み、世界の美術品を収集、その嫌らしいドケチさを舐めるようにつぶさに見せてくれるリドリースコット監督。そして、ゲッティをクリストファー・プラマーが、唯我独尊状態で演じて見せてくれるのです。あの名作サウンドオブミュージックで、オーストラリアのやもめ将軍を演じたあのお方。当時の剛毅なキャプテンという役には顔がちょっとニヤケていて、ま、そこもお茶目と言えなくもなかったのですが、歳を追うごとに渋く渋く石の彫像のような面構えに感動。どんな生活をするとこんな顔を掘り起こせるのだろう。絶滅種かもしれない天然の威厳。そういえば同じような顔にマックスフォンシドーっていたよね、エクソシストの神父さんだった。素晴らしく彫り込んだ奇跡のようなジジイ顔、見ているだけで贅沢な気分になる、モトを取ったと感じられる映画ですよ。

 

誘拐された孫の母親役をミシェル・ウィリアムスがやっていた。今まで少し泥臭い感じで好きじゃなかったが、この映画では素晴らしいの!70年代のシャネルスーツが似合うなあ、ちょっと肉付きのいい感じがレトロで素敵!パーマネントヘアにデニムのベルボトムとかも着ています。お金持ちエリートの演技が上手だった!当初この役の候補だったナタリー・ポートマン(ジャクリーヌオナシスやっていた)より絶対巧いよ〜!このお二方の格闘場面がワクワクする。

 

あと、どうしても文句を言いたいのが、マーク・ウォルバーグ。コメディだったら面白いのに、70年代の元CIAには子供顔すぎ。レトロな男性はやっぱり長い顔、大人顔じゃなくちゃね。ミスマッチに自分でも気がついているのかも、一生懸命額をしわくちゃにして苦味走ろうとしてるのが痛かった。

 

この映画ははそもそもケビンスペイシーがゲティを演じることになっていて、もう撮り終わる頃に未成年セクハラ問題で降板することになったのです。クリストファー・プラマーが受けて公開ギリギリに完成。ケビンスペイシーだったら、いくら特殊メイクを施して80代に見せていたとしても、まだまだ中年、ヌメッとしておぞましかっだっただろうなあ。より大きな怒りを誘発する映画になっていたかも。クリストファープラマーの威厳が、この呆れた人でなしキャラクターを若干救ってくれていたのかもしれません。

 

実話を元にしてどのくらい脚色してあるのかはわかりませんが、凄まじいケチの当主がなくなった後には家族はチャリティーで大盤振る舞いしたそうです。それでも、ゲティ家の呪いは続く、誘拐された長男はその後無理やり取らされた麻薬から中毒になり体を壊したり、失明したりして50代でこの世をさってしまった。他の家族たちもなかなか厳しい人生を送ったようです。

 

お金だからわかり易いが、意外と身の回りにも「何か」で猛進しまくって呪いのタネを振りまいている人、いるような気がします。そう言う人が文化を作っていると言う場合も多々あるし、人って業が深い。ネコはいいなあ。

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カンケーのない画像ですみません。靴の大人買い。ゲティ家ならタダでもらえそうです。

 

| 映画〜っ! | 16:25 | comments(0) | trackbacks(0)
旧神奈川県立美術館

日影ひろみさんに誘われて鶴岡八幡宮にある「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」に行った。ここは以前「神奈川県立美術館」だったところ、日本最古の近代美術館だそうで、ル・コルビジェに師事した板倉準三が設計した神奈川県の重要文化財。数年前老朽化と土地が借地であったなどの理由で取り壊しにいたるところだったのが、反対の声が大きかったのかな、修復することに決まりこの2年間ずっと工事中だった。このほど修復が終わり、5月6日まで建物内部と改修工事までの軌跡を紹介する展示「新しい時代の始まり」が開催されている。

 

この美術館に、私は本当にお世話になったなあ...。パウル・クレー、ムンク、アンソール モランディ。今上野の美術館で展覧会があったら、混んでいて、ストレスまみれになりながらも、それでもせっかく来たんだからと必死で見るんだけど(言い過ぎ?)当時全然違ってた、随分と空いていた印象なのです。のんびりと絵の醸し出す空気に浸りながら悠々と見ることができて、そんな贅沢できたことにひたすら感謝、感謝...。

 

それでも、絵を見ることに精一杯だったからか、美術館の建築までには目がいっていなかった。今回の修復の過程の展示を見て、初めて気がついたことも多いし、もしくは昔の状態をすっかり忘れているか。柱やドアの色、建てられた当時の色使いに戻したそうで、シャープでモダンで素敵、階段と壁の間にわざとちょっとした隙間がとってあったり、手すりが床までぐるっと綺麗なカーブを描いていたり、キャラメルのような四角い形やら、源平池の光の反射がゆらゆら映る天井やら、アールの入った手すりとか。居ればいるほどもっともっといろいろ発見できそう。心込めた建物ってそういうものなんですね。取り壊しにならなくて本当に本当に良かった。

 

 

 

 

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| 文化〜っ! | 22:15 | comments(0) | trackbacks(0)
「ブラッククランズマン」みた。

またまた映画なんですが、スパイク・リー監督の「ブラッククランズマン」を観に行った。実は「運び屋」よか、これが観たかったんだよね。色々あったがやっと行けました。

 

アメリカの白人至上主義組織、KKKに、ユダヤ人刑事(アダム・ドライバー)と黒人刑事(ジョン・デヴィッド・ワシントン、なんとデンゼル・ワシントンの息子だったぜ!!)が一人二役的に協力しながら潜入するストーリー。「娯楽的、ブラックコメディ」と書いてあったのに、終始怖くてドキドキしていました。アメリカの白人至上主義者なんて、私オバケよりも怖いぞ〜。社会がグルになって殺しにかかってきても、あっちは絶対罪に問われないんだから。アフリカ系アメリカ人は差別だけじゃなく、こんな恐怖に、いやテロに耐えて数百年も生活してきたわけなんですね。「差別」という言葉は軽すぎかもって思うよ....。

 

アカデミー賞作品賞がグリーンブックに決まった途端、スパイクリーは怒ってアカデミー賞会場を去って行った。あんな甘っちょろい(って観てないがw)白人feel_good_movieクソ食らえというメッセージですな。その時は頑固者だなぁと思ったけど、まあ良いことをしましたね。こういうエライ人が率先して憎まれ役を買って出てくれないと、永遠に世の中は変わらないんとちがう?

 

スパイク・リーの映画はやっぱりキビキビしてて巧い!自分はダラダラグズグズしてるのに、いや、だからか、こういうスピーディーなリズム感のあるものが大好きです。それに音楽が!音楽が!音楽が!素晴らしいのよ〜っ。映画の最後に流れる曲は亡きプリンス様の未発表曲、すげ〜〜〜〜〜っ、かっこいいい〜〜〜〜〜っ、これは絶対手に入れよう!

 

アメリカは未だに内戦中なんですね、(ま、日本も実はそんなものかもしれないが….)今起こっているトランプ政権と、当時のKKKリーダー、ジョン・デュークの映像のコラージュが巧い。 

 

で、どうしてもw アダムドライバーの顔がいいな〜〜〜〜っ、大概最近のスターの顔って、往年のスターのナゾリが多くて、いや、逆にそうでないと大物になれないんじゃないか….という疑いがあるんです。アダムドライバーの顔は、原型顔っぽいかも….、強いて言えば、ほんの少〜〜〜〜しジェフゴールドブラム的かな…。この人のひたいが後退して狭めで、面長すぎのバランスはモダンに背を向けてて素晴らしい。ボルゾイってロシアの高貴な犬を思い出したり。意外と何にでもすんなりと化けられそうな演技力。ミレニア世代の役も良かったし、遠藤周作のマーティンスコセーゼの「沈黙」での司祭役、主役よりずっと重みがあると思った。

 

最後に、もう一人、デンゼルワシントンの息子、なんとプロアメフト選手だったそうです。そう言えば、動きがやけにプリプリしていたかも〜w。この主人公のウリの白人英語と黒人英語の「バイリンガル」、KKK相手に電話の声色を使い分けるんだけど、これはあんまし上手じゃなかった、と思う。往年のエディ・マーフィーがやったらパーフェクトに使い分けられていただろうに。。。惜しいなぁ、そういうの聞きたかったなあ。しかし、スポーツ奨学金で大学行ってそこからプロになっているんだから本物!こちらも今後が楽しみですね!

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映画とは、またもや全く関係なのですが、アメリカつながりってことでw アダムドライバーの似顔を書こうとしたんだけど、「鼻」を描かない(描けない)作風なので、努力したもののつまんなくなりました。今後精進、しようかなぁ....

 

| 映画〜っ! | 12:56 | comments(0) | trackbacks(0)
投票してきた

天気の良い日曜日の朝、投票所に行って投票してきたよ。家から7〜8分のところにあるのだけど、行きも帰りも近所の人たちとすれ違って不思議とウキウキする。しばしば高齢者ばかりだなあ、とため息をつくのが、今日は結構若い方々が来ていた。喜ばしいことです。

 

で、今回、実験として投票の紙持って行かなかったの。どういったプロセスで投票用紙と引き換えになるのか、係りの方の手を煩わせて申し訳ないのですが、興味があったのです。一応IDとして使えそうなものは全て持参。入り口で住所と名前を書くだけで、すぐに照会してもらえて、IDは必要ないんですね。簡単でびっくり、と同時にちょっと怖い気も….。このまま進むと、どこの投票所でもオンラインでソッコー照会してもらえて、仕事に出ている人、お出かけの人には便利…しかし、自宅でオンラインというのもありそうだし…、便利になると危険も多くなる。難しいなあ。

 

帰り春で桜が散ってていい匂いの素敵な小道を歩きながら、思い出したこと。母が結構認知症が進んで、しかしまだまだちゃんとした、いわゆるマダラだった頃、投票所について行っていたのです。母は筋金入りの自民嫌いだった。国会とか見ながら、「嘘つきよねえ」などとよく怒っていた。と言っても、今の政権なんかよりよほどマトモだったのだけど…涙.。

 

そんな母、認知が進んでいたので、投票所のブースにつくやいなや、大きな声で「自民」って書くんでしょ?って私に聞いてくるのです。「なんで急に???自民ずっと大嫌いだったじゃないのよ〜」「もうなんでもいいから自民以外にしといたら?」その瞬間、投票所には険悪な空気が….。係員の人が私に向かって怖い顔でやって来る前に、「じゃ、好きに書きなよ、私は知らない」って急いで退いた。いや、党名が50年以上変わっていないって、やっぱり凄いことですよね。恐れ入ったです。

 

今回の選挙もどうなるんだろう、投票所に来る人たちの、背筋伸ばしてサクサク歩く姿に、一人一人のなんとかしなきゃって気持ちを感じました。

 

 

絵は「40代女子の憂鬱、長ネギとエコバッグ」

| 世の中 | 11:08 | comments(0) | trackbacks(0)
「運び屋」を観た

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クリント・イーストウッドの「運び屋」うっかり観に行った。面白いのかなあ、いい加減おんなじことを何度もやって飽き飽きかも〜、という懐疑の気持ちが半々のままで。感想は後者。でも、90近くなって同じとでも何でもずっとやってられるのって、大したもん、いやとんでもない怪物ですよね、凄すぎ、パチバチ。

 

ところで、ストーリーは今のクリント・イーストウッド自身の話じゃないのかな。この歳でもう勘弁してくれ〜と感じながらも、脚本が山積みに持ち込まれるはずだし、食わしている人たちも傘下に大勢いるし、どっかで幕を下ろしたい、が自分じゃもう無理、みたいな。映画の中で、アメリカ縦断をしている、その度に!st run、2nd run….ってキャプションついてる。そうなのよね、やめられない止まらない、なのだ。生涯仕事人間で家族をないがしろにした90近い老人が、うっかり麻薬の運び屋になって、アメリカのまっすぐな道路を爆走、のっぴきならないとこまで、どうぞ皆さんお付き合いください、そういう映画なのです。

 

アメリカの道路爆走シーンって、とんでも商業価値があるってとこが、面白いかも。ただ走ってる。警察に追っかけられる。途中のダイナーで食べる。ガソリンスタンドや、小さいポテトチップスなんか売ってる店、モーテル、地元のバー。何度おなじようなシーンを見ても、毎回はまってしまう。どうしてだろう、どうしてだろう….。大した答えでなくていいから、なんか答えが欲しいなと思いながら、う〜〜〜んと心で唸りながら観ていたのです。

 

 

「運び屋」との関係は、道路、これだけ。しかし、こういう道路って好きかも、やっぱり。

 

| 映画〜っ! | 11:07 | comments(0) | trackbacks(0)
映画「チワワは見ていた」

映画「チワワは見ていた」をみた。ドリー・ヘミングウェイ演じるポルノ女優のジェーンと引きこもり気味の老女(書いておいて…厳しい言葉だな…)サディとの交流を描いた映画です。ドリー・ヘミングウェイは、アーネスト・ヘミングウェイの曽孫で、女優マリエルヘミングウェイの娘。サディを演じたベセドカ・ジョンソンは、この映画の前は素人さんだったみたい。実際サイトからこの人のリンクを探しても見つかりません。最近はハリウッドの女優さんは何百年も若くいられるみたいだから、本当のおばあちゃんを探すには素人さんを当たるしかないようです。

 

しかし、さすがヘミングウェイのひ孫と思った。役がポルノ女優なんだもん。吹き替えているようですが、普通の生まれの女優さんだったら、どれだけ素質があってもこんな不敵なキャラからは始められません。危なっかしいエッジ効きまくりの素晴らしい役ではあるものの、普通だったら身を滅ぼす役ですよね。恐れ入りました。

 

おばあちゃんとジェーンの凸凹コンビが可愛らしい。甘く優しい出会いではないのに、周囲の雑音もすごいし、おばあちゃんも必死で拒否るのに、なんかだんだん優しい空気が流れてくる。この二人の犬ころみたいなクンクンする声がなんか素敵。ぜひ味わっていただきたい。ま、ドリー・ヘミングウェイが、透明感のある、カッコイイバンドでボーカルでもやったら、男子は即イチコロになるようなイケてる女子すぎなのである。

 

サディが毎週行っているビンゴゲームに乱入してくるジェーンが可愛いし、そもそもあ〜ゆう体育館みたいなとこでやるビンゴゲームに憧れる。アメリカにいた時にやっておけばよかったよ…..。

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| 映画〜っ! | 13:49 | comments(0) | trackbacks(0)
アミューズミュージアム 「美しいぼろ布展」

イラストレーター女子会があって、浅草のアミューズニュージアム「美しいぼろ布展」を観た。

 

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「本展覧会では、当館の開館年でもある2009年に、『BORO つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化』を出版なさった、写真家・編集者の都築響一氏が新たに撮り下ろした写真作品34点と、現物のBOROを同一空間内に展示することで、美術館全体をひとつの大型インスタレーションとしています。粗末なぼろ布に現れた思いがけない美の世界。消費文化の対極のアートをご覧ください。」

 

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浅草のアミューズミュージアムは閉館するということで、なんと、初めて行ったのに閉館か…。布関係の面白そうな展示が色々あったようです。綿は育たない寒い青森で、麻布を寝具に、着た切り雀の着物に、破れたら繕って、搔巻のような寝具などは床に置くとツギハギの力で立ち上がるくらいの「ぼろ布」。偶然70年代に世界中流行ったデニムのパッチワークジーンズみたいに見えるのだけど、こっちのが先でした...。この「ぼろ布」を収集、保存してきた田中忠三郎氏がこのミュージアムの名誉館長ということで、黒澤明の「夢」にこのコレクションが使われている。例によって無知不勉強だから、しかし何を観ても新鮮です。

 

藍の「ぼろ布」はインスタレーションのように都築響一氏の写真とともに展示してあり、触れたりもできるのです。が、私は触れられなかった....厳かで残酷な磁力があって、あまりにも色々吸収している布だから、ズシーンと重くなるような、美しいと簡単には言えない気持ち。廃墟とか、事故現場、重い歴史のある土地のような。もちろんそれなりに生活の喜びがあったとしても、こうして見ると、どうしようもない貧しさがズンズン心に響いてくる。....すみません、突然飛んで...テニス選手の大阪なおみが父の国ハイチへ行った時に、「humbled」と言っていた。飲み水を取りに行くのにも長いこと歩いて行くような貧しい村の暮らしについて、「謙虚な気持ちになる」というようなこと。スターですごいお金を稼いでいるのに、なんか素敵だなと思ったり。ところが、この展示はまあ日本で普通の地味な生活をなんとかしているフリーランスの私でも、すごーく謙虚な気持ちになりました。展示の説明に「そっくり復刻して、フランス語かイタリア語のタグと高い値段をつければ、そのままハイファッションになるにちがいない」とあったけど、それは素直に受け取れない厳しい教えのようなもの出ているような気がして仕方ありません。

 

で、同じ津軽のものでも、同時に展示してる、ひし刺、こぎん刺しの前垂れには、色が綺麗!だけでない明るさや華やぎが感じられます。若い女性が、嫁入りのために腕をふるって前垂れに刺繍をしたもの。布を丈夫になるのが元々の目的なんだけど、それはそれは細かく、それぞれが色の組み合わせやデザインに凝って作ってあるのです。一枚作るのにどれだけ時間がかかったんだろう。冬の農作業がないときにチクチク作っていたのでしょうね。実際に使用していたものなのに、保存状態が素晴らしくて細かく刺繍された布の強靭さに驚いた。

 

ところでこぎん刺繍って昭和にかなり流行っていたはず、祖母が帯を作ろうとしていたのを覚えています。この展示で見た細かい津軽のひし刺しの3倍くらい緩いものだったけど、一段一段平行に刺していくうちに縦の模様が浮き出てくるのが面白かった。子供の頃学校で習った覚えのある「スエーデン刺繍」も同じ原理。こちらは、裏まで刺さずに布の表面の目を拾っていくのですが、やはり一段づつ横に刺していくから、全体像が後半一気に見えてくるのでワクワクしました。貧しく寒い津軽の地でも、刺繍をするのは楽しみだったのだろうな。「ぼろ布」に比べて場の空気が華やいでいるので救われた。

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| 文化〜っ! | 13:24 | comments(0) | trackbacks(0)
「新・北斎展」に行ってきた

先日「新・北斎展」観に六本木ヒルズの上にある森アーツセンターギャラリーへ行きました。やはり激しく混んでた。その前に行った「ムンク展」もやはり混んでいたけど、なんせ浮世絵だから見る対象が小型で、かぶりつきじゃないと見えないし、絵の前から50センチくらいの床に白線が引いてあって、それ以上近寄ってはいけないの。私は押されておっとっとと絵にぶつかりそうになって冷や汗かいちゃった、汗。

 

そんな緊張と混雑でヘトヘトになりながらも、ありがたく見せていただき、的確に省略しながら切り込んでる凄い線と、デザイン、そして途轍もない画欲に圧倒されました。生涯になんども名前を変え、お金に頓着なく、出前の食べ物を食べながら、ボロを着て、朝から夜遅くまで描ききった人生のようです。93回も引越しをして…汚部屋になったら次へ引っ越すの繰り返し。で、90代まで生きている。死ぬときも後もう少し生かせてもらえたらもっといい絵が描けるのにと言っていたみたい。すごいですね、本当にすごいですね。綴った本も沢山展示されていましたが、絶対外さない超ハイレベルで描かれている。こういう偉大な先人が、日本のアニメや漫画の量と質の元になっているのですね。そして、これぞ江戸〜〜〜っ、洒脱〜〜〜つう感じ。江戸の生活の音や匂いが感じられるようなスピード感あってイキイキした情景。人物の表情のデフォルメなんかもその時代の世界のアートの先進だったわけですね。

 

掛け軸になっている大きな作品も多数出ていました。絵はもちろんウマすぎなんだけど、軸の生地がすご〜く素敵で、これは北斎本人が選んだのだろうか。草花の総刺繍とか、絵に合った柄の織りとか、こんなハッキリゴージャスな軸って初めて見ました。遊女の絵の軸先が艶々した朱の漆だったり、凝っていて、お洒落でござんした。

 

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| 文化〜っ! | 17:49 | comments(0) | trackbacks(0)
「天才作家の妻 40年目の秘密」

義姉から強くオススメされて映画「天才作家の妻 40年目の秘密」原題「The wife」を観てきた。

 

ノーベル賞をとった小説家の夫ジョーとそれを支える妻ジョーン(グレン・クロース)、そして息子がストックホルムの授賞式に行く、夫婦の創作の秘密をライターに嗅ぎ回られるし、同じく作家志望の息子と父はうまくいっていない。そんな究極のハレ舞台で家族の状況はどんどん悪い方向に、とほほ。みたいなストーリーです。

 

 

ノーベル賞授賞式のディテールにワクワク。受賞者宿泊ホテルの夫妻のベッドルームに早朝突撃してサンタルチアを歌う聖歌隊のシーン。ほんとにそんな儀式があるんですってね。ベルイマンの「ファニーとアレクサンドラ」を彷彿とさせる色彩で、北欧の重厚なインテリアが見て楽しい。

 

グレン・クロースはこの役にピッタリ。どうしても大女優同士比べてしまうのだけど、メリル・ストリープじゃなくて良かった〜。グレン・クロースを最初に観たのは「危険な情事」インパクトあったなあ。この映画が当時米国の既婚男性に与えた恐怖は計り知れないものだったと、夫談。シャワー中の妻が蒸気で曇った鏡を手で拭き取るとそこには夫の浮気相手のストーカー、クレン・クロースの顔が.....、ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜っっ!というシーンが目に焼き付いている。未だに私にとってあれより怖かった場面はないかも。実際ヒッチコックのシャワー室の血が流れるシーンと双璧かと思うくらい。風呂場の無防備さがことの何倍も怖くしてしまいます。

 

この映画に出てくる俳優さんのサラブレッド度がすごい。息子役、ジェレミー・アイアンズの息子、そして若きグレン・クロースの役を本人の娘が演じている。母親より美人さんだけど、斜め後ろからの顔のラインがそっくり。演技が上手なのはもちろん母親譲り、らしい。

 

そして、途中ちょろっと出てくるエリザベス・マクガバンが印象的!タダ者じゃない濃さなのです。最近ではテレビドラマダウントン・アビーの奥様を演じていた人で、70年台から主演女優として活躍してきた。付け焼き刃じゃないハイソな雰囲気に感心してしまいました。こいつにやられて若きグレン・クロースは自らの才能を封印することになるんですよね。まあ、50年台だから、他に道がなかったんだろうけれども。

 

私も、子供の頃は、女性は軽いものは創れても、本物の時代の道標となるような大作は作れないのかなと信じていた。いや、歴史が証明するまであと何年もかかるかもしれないけど、子供産まなきゃどんどん出てくるんだろうな。将来、すべての女性が子供を生むのを一切やめてしまったら、たぶん素晴らしい作品の洪水になりそうな予感。が、それじゃ一世代しかその作品を味わえないってことかぁ、残念かなぁ。昔の女性は人類を存続、拡張させるために一生に10人もそれ以上も生んで育てていたわけだから、現代1人か2人もしくは産まない状態が多いのを考えれば、今後世界を変える女性の作品がものすごい勢いで増えていくだろうな。あっと、この映画って女の鼻息荒くさせるような気もしてきた。ヤクザ映画の女性版?だったりしてね。

 

そしてエリザベス·マクガバンはバンドも組んでいて動画はこちらです。57歳にして妖気噴出しまくっていて必殺、必殺、必殺〜!イチコロな私でした。

 

見終わって、結局夫婦って大なり小なりこんなもん…..。両親の世話みたいなことやって、母が父と父の家族にとことん悩まされていたのですが、年をとって二人だけになれば、困った箇所は忘れるよう影に押しやり、何とか続けていくというような….。そこで逆に絆が強くなるというような…。この映画では、物語の終わった先を上手にぼかしてありますが、妻、どんなに文句言っても、結局は同類、一緒に積み上げてきた積み木という感じかなあ、グレンクロース本人はこのストーリーの行く末をジョーが全てを話して、自分のテリトリーを見出し書き始めるといっていたけど、それじゃ簡単すぎんじゃね?世の中それが通ったら逆に素晴らしすぎ....とか思ってしまいました。そう思っちゃう私は.....、日本に住んでいるからかしらね...。

 

映画とは全然カンケーないけど、最近のスタイルがをアップして見ました。グレンクロースを描きたいなと思って見たけんど、鼻を描くのが下手で諦めたのです。

 

 

 

 

 

| 映画〜っ! | 21:22 | comments(0) | trackbacks(0)